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☆どんな状況にあっても生き切った人生

人生

衝撃的な事件の報道を見聞きするたびに、思い出す本があります。

「永山則夫 封印された鑑定記録」 堀川惠子

生きること、人間とは、人が人を裁くこと。。。などについて、

考えさせられた、忘れられない本の中の1冊です。

さまざまな事件の背景

何故なのか、自分でもよくわからないのですが、事件を追ったノンフィクションの本や番組に積極的に触れてきました。

大きな事件、話題性のある事件に関して、何故こんな事件が起きるのか・・・

その背景を知りたくなるのです。

犯罪に関わる人間の心理、人生や社会背景などが気になるのです。

今から、もう10年程前でしょうか。

NHKで「永山則夫 100時間の告白」 ~封印された精神鑑定の真実~ の番組を観ました。

私の中で、激震が走ったことを覚えています。

その後、番組ディレクター堀川惠子氏によって書籍化されたものを購入、一気に読み終えました

人間と言うものは。。。

永山則夫連続射殺事件とは、1968年10月-11月に東京都・京都府・北海道・愛知県の4都道府県で発生した拳銃による連続殺人事件。「永山則夫事件」「永山事件」とも呼ばれる。

ウィキベディア フリー百科事典 最終更新 2023年4月26日 (水) 12:19 

世間を震撼とさせたこの事件は、死刑判決の規準として引用されるようになりました。

事件発生当時、まだ子供だった私は、事件の内容をほとんど覚えていないのですが、事件があったこと、永山則夫の名前などは、ずっと記憶に残っていました。

でも、よく考えてみると事件を起こした犯人も当時は19歳だったのですね。

もし、私が永山だったら。。。と何度も繰り返し思いながら、この本を読み進めました。

生前、永山が自身の全てを語りつくした膨大なテープがみつかります。

テープは、100時間に及び、鑑定を担当した石川義博医師によって大切に保管されていました。

その中に残されていた、永山が犯罪へと向かった心の軌跡。

人間の複雑さ、偶然が左右する人生、生きる悲しみ・・・

そんなことを考えながら、この本を読みました。

鑑定を担当した石川医師が、精神科を志した最大の動機は、人間の「こころ」を深く知りたいと思っていたからだそうです。

人間の「こころ」・・・理解するなんて、できるのだろうか?????

人間というのは、それぞれ異なる遺伝子を持ち、育ち方も特性もあらゆる点で異なっている。同じ条件を与えても、時間や場所、本人の状態により、その同じはずの条件すら微妙に変わりうる。そんな人間を数値化したり客観化することは、そもそも不可能だと言うことを学び取った。それほどに人間というものは、奥深く複雑で難しい。

「永山則夫 封印された鑑定記録」より

石川医師は、非行少年たちの治療に携わられ、そこでは、人間関係を作る事を優先されたそうです。

時間をかけて治療関係が築かれ、少年たちが医師を信頼して初めて、問題解決へと繋がっていくのだと。

永山則夫と石川医師 その出会い

100時間の間に、永山則夫と石川医師の間にも関係性は変化していったはずです。

時間と労力、知力、エネルギーを注ぎ込んで、永山自身が語った内容をまとめ分析した鑑定書。

まさに、石川医師が全身全霊を注ぎ込んだ「永山則夫精神鑑定書」

それなのに、最終的に、永山本人は、石川医師の鑑定を「自分の鑑定じゃないみたい」と批判。

それを知った石川氏は、深い失望と哀しみを顕わにされ、犯罪精神医学の道からすっぱりと退かれたそうです。

永山則夫の死刑は、確定。

当該事件の裁判の結論は決まっていて、鑑定書は排斥するより仕方がなかったと、元裁判官の証言。

そして・・・・

精神鑑定が終わってから23年後、死刑執行。

石川医師が患者と向き合うとき、最も大切にしていたのは、患者のこころに耳を傾けるカウンセリングなのだそうです。

患者自身の苦しみが患者自身の言葉となって現れる時・・・それをひたすら待つカウンセリング。

鑑定書ができあがるまで、永山則夫は、結果的には、自分自身と向き合うカウンセリングを受けていたと言えるのでしょう。

石川医師と出会ったことで、彼のこころは、確実に変化していったと思います。

石川医師による鑑定、その記録。

最終的には否定をしたはずの鑑定記録なのに、最期まで彼は、手元に残していたそうです。

そこには、永山自身によるたくさんのボールペンの書き込みがありました。

何度も何度も文字におこされた自分の人生を反芻していたであろう永山則夫。

その事実を聞かされた石川医師の目からは、涙が零れ落ちたそうです。

二人の時間・・・

それによって、連続射殺魔から一人の人間に立ちもどり、最期まで印税を被害者遺族に届けようとしたのではないかと、著者は語ります。

石川医師が手放さなかった100時間に及ぶテープ、そして永山自身が、手元に置いて書き込みをした膨大な精神鑑定記録。

二人にとって、それぞれの重みのある時間だったのでしょう。

不寛容な時代に生きる私達

永山と石川医師、お互い全身でぶつかり合って完成した鑑定書の記録は、

死刑執行までの日々、独房にいた則夫を支え続けたような気がします。

この本の最後に書かれています。

社会のひずみは、いつも最初に弱者へと押し寄せてきます。強いものが富を独占し、弱きは切り捨てられ、弱きものはさらに弱きものを蔑み、一度転落すれば再挑戦も許されない。そんな不寛容な時代に私たちは生きています。

「永山則夫 封印された鑑定記録」より

そして、人との繋がりがどうしても必要となるのだと。

どんな状況にあっても、彼は、48年間の彼の人生を生き切った。

ひとつの人生から、人間の奥深さ、複雑さを感じずにはいられません。

人間、人生、社会を考えさせられる、とても、重く、奥深い内容です。

私の拙い文章では、上手に表現できてなくて、なんだかなぁ。。。

ごめんなさいm(__)m(←毎度のことで。。。)

できたら、NHK・ETV特集「永山則夫 100時間の告白~封印された精神鑑定の真実」と、この本を併せて読まれることをお勧めします。

私もすごく印象深くて、このやや分厚い本をずっと手元に置いておきました。

読後10年経過。今でも、良い本に出会えたと思っています。

ブログを書きながら、再読をしてみたいなと思いました。

今日も最後までお付き合い下さって、有難うございました。

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