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☆「生きるかなしみ」・・・山田太一さんを偲んで

人生

先週、私にとって思い出深い方の訃報が、また一人、届きました。

脚本家の山田太一さんです。

私の人生前半、大切な母の死を経験した前後、山田さんのドラマがテレビで放映されていました。

「それぞれの秋」そして、「岸辺のアルバム」

お母さん役の久我良子さんと八千草かおるさんが、母の姿と重なります。

当時の我が家も愛情たっぷりの、父母兄、そして私の4人家族でした。

ところが、色々と歯車が狂い出した時期に、山田太一さんのドラマが放映されました。

「岸辺のアルバム」の最後のシーン。

多摩川の氾濫で幸せの象徴だったマイホームが流されていくシーン。

ジャニス・イアンの「ウィル・ユー・ダンス」の曲とともに、今でも心の中で再現されます。

「確かなものなど、何もない」・・・自分の人生と重ねて、そんな風に感じたことを思い出しました。

どんなに一生懸命生きていたとしても、どんなに幸せな生活を送っていたとしても、

人生の歯車が狂っていく事ってあるのです。

この二つのドラマは、若き日、次々と困難にぶつかった私に、ピッタリの作品だったのです。

その後、時は流れました。

ある日、本屋さんで山田太一氏の文庫本のタイトルに目がとまりました。

「生きるかなしみ」

1995年刊行となっているので、ドラマを観ていた時期から、ずいぶん、時が経過していたのだと思います。

実際に手に取ったのがいつ頃だったのか、記憶が曖昧です。

結婚をしていた時期だったのか? それとも愛する夫と死別後に出会った本なのか・・・

ただ、タイトルの「生きるかなしみ」と言う言葉に惹きつけられて、手に取ったことを覚えています。

どんな人生も生きていくには、かなしみを伴うものなんだと。

このタイトルは、私にそっと語りかけてくれたのです。

本の内容は、ほとんど覚えていないのですが、このタイトルは、人生の大切なキーワードとして残っています

いのちの儚さ、自分の無力感、人生には、どうしようもない、抗えない運命というものがある・・・

そんな事を、このタイトルは、私に改めて、語りかけてくれたのです。

山田太一さんの訃報が届き、私の人生で出会った大切なことば、「生きるかなしみ」を昭和のドラマと共に思い出しました。

山田太一さんのご冥福を心より、お祈りします。

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