毎度お馴染み、十三の第七藝術劇場、「七藝」にて映画を観ました。
タイトルは「拳と祈りー袴田巖の生涯」
シニアになっても気になること
七藝では、私好みのものが多く上映されます。
「ひと」とは何か・・・を考えさせられる作品が、多いと思っています。
そして、６８歳の年齢になっても、いまだに、「人生とは･･･生きるとは･･･人間とは･･･」に興味を持ってしまうのです。
シニアになって、かる～く、楽しく余生を、生きようと思っているのですが・・・
根っこのところで、興味があるから、仕方ないかな。
強くて、優しい９１歳
今回、鑑賞した映画「拳と祈り」
以前にもブログに書きましたが、冤罪事件のドキュメンタリー映画です。
袴田事件は、1966年6月30日に日本の静岡県清水市横砂の民家で発生した強盗殺人・放火事件。現場の家に住んでいた味噌製造会社専務の一家4人が殺害されて金品を奪われ、家に放火された事件である。同社の従業員だった袴田巌氏が逮捕・起訴され死刑判決が確定したが、後に再審で無罪が確定した冤罪事件
ウィキペディアより
今回は、巖さんご自身の人生を考えるというよりは、お姉さま「秀子」さんの姿に、深く心が動きました。
すごい人・・・
苦労をすると、どこか、斜めに構えて、世間や社会を見る人もいますが、
秀子さんは、逞しく、強く、温かく、優しい人。そんな印象を持ちました。
人間性が、スクリーンを通して、私の胸の中に入ってきました。
御年９１歳。
偶然にも、早逝した私の母と同い年。
自由と、愛
巖さんは、拘禁反応（刑務所などの拘束された状態で起こる精神障害で、幻覚や妄想などの症状がおきる）から、家の中を長時間歩き続けたり、一日中、外を歩き回ったりされています。
ティッシュを丸めては、伸ばして畳むという、意味のない作業をする巖さん。
傍らで、秀子さんが、温かい目で見つめています。
「長い間、拘束されてたでしょ。今は、自由にしてもらいたいの」
あっさりと話される秀子さん。
ケガや事故を心配し行動を抑制せず、どこまでも、巖さんの自由を奪わない秀子さん。
自由って、当たり前のように思っているけれど、そうでない人生を生きている人もいるんだな・・・
自由って、本当に有難い
冤罪に苦しむ元裁判官
そして、もう一人。
静岡地裁で１９６６年秋に死刑判決を下した裁判官のひとり熊本典道さん。
当時、３人の裁判官のうち、唯一「無罪」を主張されていた元裁判官です。
他２名が、有罪を主張。
最終合議で二対一で敗れ、信念に反する判決書を書かざるを得なかったと告白。
「多数決で、巌さんに死刑判決を下した」「私は、いうなれば殺人未遂犯ですよ」と。
熊本さんの人生も、それから大きく変わったと想像できます。
「死刑廃止」を訴える活動もされていたようです。
熊本典道さんは、２０２０年１２月に逝去されています。
亡くなる１か月前に、秀子さんは、熊本さんを見舞われています。
映画では、その時の様子も映っていました。
秀子さんを見ると、熊本さんの目が輝きます。
秀子さんが巌さんの様子を話しながら、熊本さんを励まされていました。
いわば、大事な弟に「（不本意ながらも）死刑判決」を下した人です。
それでも、長きにわたり、同じ冤罪事件で、それぞれに、苦しみぬかれてきたお二人です。
私には計り知れない絆で結ばれているような気がしました。
熊本さんも、袴田さんへの謝罪と言う気持ち、そして苦しみを持ち続けられた人生だったと推察できます。
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虚偽の証拠と謝罪
それにしても、巖さんが犯人だとした、工場のみそタンク内から発見された、血のついた衣類5点。
誰が、仕組んだのでしょう。
ここは、うやむやにせず、徹底的に追及すべき事項だと思うのですが。
時効なんてことを言わずに。
何人もの人生を狂わせたのですから。
発見されたズボンは、袴田さんの身に合わず、小さすぎて着用できなかったと言うのに。。。。。
虚偽の証拠でもって、他人の人生を変えようとするそんな人間が存在する恐ろしさ。
主張を撤回することが怖いから？
その人は、どんな人生を歩まれたのでしょうか。
現在の静岡県警本部長が、今年の１０月に袴田さんの自宅を訪問して、５８年間の心労と負担に関して、謝罪されました。
謝られても・・・・・・・・
それでも、巖さんの、秀子さんの、そして熊本典道さんの人生をリセットすることは、できません。
重たいテーマの映画でしたが、人間の強さ、優しさ、温かさが、伝わりました。
人が、そして国が、人のいのちを決めてはいけない。
あらためて、そう思ったアーモンドです。
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