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☆人生最期に語られた戦争の話

メメントモリ
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秋も深まり、群生したススキを見かけます。

ススキと言えば、ホスピスで傾聴をしていたとき、出会った高齢の男性を思い出します。

毎回、とても、深い話をされました。

今日は、Bさんと過ごした時を思い出しながら、つぶやいてみようと思います。

窓から見える小鳥、自由でいいな。

元軍人、90歳のBさん。お話を聴いたのは、今から10年近く前のことです。

5回ほど継続訪問をして、傾聴させて頂きました。

最初から、哲学に興味があるとおっしゃたBさんですが、深いお話を好んでされました。

初めて訪室したときは、窓の外の小鳥をじっと見ながら、

「ほら、見てごらんなさい。あの鳥も木から木へ、自由に飛び回っている。うらやましい限りです。」

当時は、寝たきりになったご自分と小鳥の姿を比べての発言だったのかなと思っていました。

今、思い出してみると、ひょっとして、もっと深いことを語ってらしたのかも。

ある日は、軍人時代の「たこつぼ作戦」について、お話されました。

穴に潜り込んで、敵の戦車が上を通れば、爆弾を投げて、自決する予定だったこと。

たまたま、自分は、生き残ってしまった。

戦後、亡くなった仲間の家族を訊ねていったことなど、当時の話をトツトツと話されました。

今まで、戦争の話は、しなかったけれど。。。とおっしゃっていました。

Bさんは、当時を思い出しながら、ゆっくりと話されました。

あまりに重たい話に、私の気持ちが、持っていかれそうになったことも。

(傾聴ケアには、セルフケアがとっても重要です。)

「私は、1本の太いススキを活けたい。」

ある日、訪問したときには、こんな話をされました。

「もし、壺に何かを活けなさいと言われれば、みんなは、たくさんのススキを活けるかも知れない。

私は、大きなしっかりとしたススキを1本だけ、活けます。」

唐突にススキの話をされ、最初は、何をおっしゃっているのか、理解できませんでした。

どうやら、ススキがご自身と重なっておられるようです。

群生して同じ方向を向いて生えるススキの特性と戦争時代のご自身のことを語られていたようです。

戦争時代は、みんな同じ方向をみて、生きていかなくてはならない時代だった。

私は、右に倣えではなく、自分の意思でしっかりと生きていきたかった。」

まとめるとそのような話だったと思います。

深すぎて、なかなか、主旨が読み取れなかったのですが、

ご自身の戦時中の気持ちを一生懸命、語られていたのだと思います。

「話すことができて、スッキリした気持ちになりました。」

数回繰り返し、訪問させて頂いたのですが、最後の訪室だったと思います。

「今まで、戦争の話をすることは、ほとんどなかったです。

 こうやって、戦争時代の話をすることができました。とてもスッキリした気持ちです。」

Bさんからは、その他にも、たくさんのお話を聴きました。

が、戦争の話をお聞きしたことが、一番、印象深く記憶に残っています。

一生懸命、聴こうとしていたのですが、内容が深くて、私が上手くキャッチできないことも・・・・。

緩和ケア病棟、ホスピスでの傾聴は、患者様の声が小さく、かすれることもあります。

私が未熟だったこともありますが、内容が、わかりにくことも、ありました。

それでも、一生懸命、その場所と時を共にしようと心掛けました。

Bさん、今まで心に閉まっていた戦争時代の話、

私にしてくださって、ありがとうございました。

ススキをみるたびに、Bさんと共にいた時のことを思い出します。

ウクライナとロシアのニュースが毎日、報じられています。

軍人、そして、一般市民までも巻き込まれるニュースに心が痛みます。

悲劇を繰り返してほしくありません。

一日も早く、平和な日々がもどりますように。

そんなことを思いながら、つぶやいてみました。

今日も最後まで読んで下さって、有難うございました。

では、また。

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